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日刊工業新聞 2014.03.11

岩機ダイカスト新工場7月着工

東北の産業・雇用担う


もう一度、東北で理想の企業を目指して挑戦して
いくことを誓う斎藤会長

 東日本大震災から3年。被災各社の再生は徐々に進んできたが、販路喪失など新たな課題に直面する例も少なくない。ただ、厳しい中でも新たな一歩を踏み出し、地域経済を底上げしようと立ち上がる企業もある。
 「未来をどうするかが大事」−。岩機ダイカスト工業(宮城県山元町)の斎藤吉雄会長は新工場の新設予定地で力強く言い切った。十数億円を投じ、金属粉末を使った複雑形状の部品を生産する「金属粉末射出成形法(MIM)」の工場新設を決めた。すでに内視鏡など医療機器で使われており用途拡大を目指す。
 7月に着工し、2016年6月の稼働を予定。本社近くに約15万7000平方メートルという広大な敷地を確保した。将来は工場の増設もにらむ。
 斎藤会長は「新しい工場を楽しみながらつくっていきたい」と意気込む。同社の13年5月期の売上高は71億円。主力の自動車部品以外で雇用を増やす。
 被災地では人口流出が止まらない。岩機ダイカストがある宮城県山元町も震災前に比べて2割ほど人口が減った。「だからこそ東北の地で新技術を生み出し、世界と戦う。被災地域の産業、雇用を担うのが我々の使命だ」。復興の先を見据え、歩み始めている。

河北新報 2014.01.29

岩機ダイカスト新工場建設

宮城県・山元町と協定締結


立地協定締結後に握手する左から村井知事、
斎藤会長、斎藤町長

 自動車部品などを製造する岩機ダイカスト工業(宮城県山元町)は28日、同町小平の町有地に新工場を建設するための立地協定を県、町と締結した。ことし7月に着工し、2016年6月の操業開始を目指す。
 県庁であった協定締結式で、同社の斎藤吉雄会長は「今まで培った技術を生かし、山元町から各地に発信したい」とあいさつ。村井嘉浩知事と斎藤俊夫町長は「東日本大震災からの復興に向けて明るい話題だ」「地域経済の活性化や若者の定住促進につながる」と期待を込めた。
 新工場は、町北部にある本社工場近くの町有地(約15万7000平方メートル)に建設する。延べ床面積は約4500平方メートル。鉄などの粉末を射出成型機で加工する先端技術「金属粉末射出成型法(MIM)」の最新設備を導入する。投資総額は十数億円で、6、7人の新規雇用を見込む。
 MIMは、複雑な形状の部品を製造することが可能。同社の歯科矯正用部品は世界で高いシェアを誇っており、医療用や電子部品向けの新規需要を見込み、新工場建設を決めた。

河北新報 2013.06.06

県内版 Eかお  岩機ダイカスト工業会長  斎藤 吉雄さん(75)

早期復旧で信頼高める


さいとう・よしお 宮城工高卒。
関西のダイカスト工場を経て68年に岩機ダイ
カスト工業を創業。社長として300人の社員を
引っ張り続け、12年9月から現職。
山元町出身。

 本社は山元町。自動車部品などをホンダ、トヨタ自動車関連などに納める亘理郡随一の企業だ。
 昨年9月に社長を後任に譲り、代表権のある会長に就いた。「自分の手が離れるまではまだまだ。強力に応援していく」と変わらず意気盛んだ。 ことしで創業45周年。ゼロから事業を拡大し、東日本大震災の危機も乗り越えた自負がある。
 津波では4工場のうち沿岸部の一つが流出。主力工場も停電で操業が停止した。「顧客に迷惑は掛けられない」と再開を急いだ。震災から半年後に生産量を回復させ、取引先の信頼をより強固にした。 「今は震災の影響は全くない。スピード感を持って復旧に取り組んだ結果」と振り返る。早期の復興を果たしたモデル企業として、全国や海外からの視察も相次ぐ。
 さらなる飛躍に向け、昨年12月にエンジン生産を開始したトヨタ自動車東日本(大衡村)の大和工場(大和町)への製品納入を目指す。「東北に来てくれたトヨタを私たちで盛り上げていきたい」と意気込む。
 趣味は史跡巡り。「歴史も経営も『勝てば天国、負ければ地獄』なのは同じ。刺激になる」と笑う。
 山元町内に妻、娘夫婦、孫の5人暮らし。

河北新報 2012.10.29

東北初 ニッポン元気会議  創りだすチカラ

岩機ダイカスト工業/金型委ね部品供給守る


アルミダイカスト製の自動車部品をチェックする若手社員
=宮城県山元町の岩機ダイカスト工業

 宮城県山元町にある岩機ダイカスト工業は東日本大震災後、常識を覆す対応で素早く部品納入を再開したことで知られる。工場は今、活気にあふれ、ロボットアームが自動車生産に欠かせないダイカスト製品を次々と運び出す。検品する若手社員の厳しい表情は、やる気に満ちている。
 創業者の斉藤吉雄会長(74)は「震災から半年で取引先は全て戻った」と強調する。 町内4工場のうち、沿岸部の一つが津波で流失した。主力工場は停電のため、アルミニウムや亜鉛が生産設備内部で凝固し、操業不能に陥った。 頭によぎったのは3年間の製品開発の末、2008年に納入にこぎつけたトヨタ自動車グループをはじめとする取引先。斎藤会長ら経営陣は「自社の損失より、部品供給をストップさせるわけにはいかない」と判断し、工場の命でもある金型を同業他社に渡し代替生産を依頼した。
 復旧もいち早く果たした。震災から10日で発電機を調達、2週間後には自社生産を一部で再開し、サプライチェーン(部品の調達・供給網)の一翼を見事に維持した。 その結果、取引先との信頼関係、結び付きはより強まり、受注回復につながったという。
 宮城県内では12月、トヨタ自動車東日本(大衡村)が大和工場(大和町)でエンジンの生産を始める。ここへの製品納入が次の目標だ。 「新しい技術と品質の向上を追求し続けよう」。斎藤会長は若手社員にこう呼び掛け、受注拡大に意欲を見せる。

日刊工業新聞 2012.07.03

トヨタ東日本 始動(上)

部品の現地調達急ぐ

 東北に工場を持つトヨタ自動車の子会社3社が合併し、トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村、白根武史社長)が始動した。 トヨタは東北を「国内第3の生産拠点」と位置づけ、東日本大震災からの復興の追い風になると期待が高まる。
ただ国内の製造業を取り巻く環境は厳しく乗り越えなければならない課題は多い。

 「7月からまたトヨタ向けの新しい取引が始まるんだ」
ホンダ向けが主力のアルミ鋳造品メーカー、岩機ダイカスト工業(宮城県山元町)の横山廣人専務は笑顔をみせる。 トヨタとの付き合いは、トヨタ自動車東日本の前身の1社、トヨタ自動車東北に初めて部品を納入した2008年から。
だが今やトヨタ本体の調達担当者がコスト削減のアイデアを求めて力を借りに来るほどの有力サプライヤーに育った。

出荷までに3年

 「これの新しいやつ、おたくで作れないか」
岩機の本社を05年2月に訪れたのが、トヨタ東北社長で、7月からはトヨタ自動車東日本の顧問に就いた杉山正美氏だった。 かばんの中から取り出したのはAT(自動変速機)用の部品。 「トヨタの基本図面通りじゃ、これと同じ性能は出せないんだが」
 杉山氏は長く海外生産に携わり、現地調達の必要性を身をもって知る。 だが「今よりも良いモノが安くなる提案がなければ調達先は変えない」

 「図面のない部品なんて作ったことがない」
岩機ダイカストの横山専務は驚いた。渡された部品の計測から始まった試作品製作は苦労の連続だった。 既存の取引先より原価が下がらず、不良品もでた。 トヨタ基準の耐久性能テストなど多くのハードルを乗り越えて出荷にこぎ着けるまでに約3年かかった。
 当初は新モデル向けの部品生産を担うはずだった。 しかしトヨタ本社の幹部が発した「実績のない会社はダメだ」の一言で、他の部品会社からも調達できる現行品からのスタートに切り替わった。
だが横山専務は言う。 「(ホンダ系の)ケーヒンと長年取引してきたが、トヨタは全く違う。この部品で勉強させてもらったから、今がある」

 岩機のような成功例はまだ多くない。 「50社くらいに足を運んだが、モノになったのは岩機ダイカストくらい」と杉山氏は認める。 08年のリーマン・ショックでトヨタの生産台数は急減。 「(トヨタのお膝元である)三河の仕事も無くなって現調化(現地調達化)どころじゃなくなった」

地元発掘・育成 目標道半ば

専門拠点を設置

 新会社発足に合わせて、トヨタは再び東北での部品の現地調達に向けて動き出した。
その任を担うのが1月に発足した「東北現調化センター」だ。 メンバーは調達出身の白根社長が自らエース級をよりすぐった。
 東北にはトヨタ東日本と直接取引する系列の1次部品メーカーの集積が進む。 デンソー東日本(福島県田村市)やトヨテツ東北(宮城県登米市)などだ。 だがその取引先である2次、3次メーカーの多くはいまだ三河が基盤の企業。 ほとんどの部品は中部地区などから運ばれてきている。
 自動車の生産基盤が脆弱な東北でトヨタの「良品廉価」のものづくりを支える調達網を構築するのは一筋縄ではいかない。 東北に進出したトヨタ系メーカー幹部も「見積もりの価格は既存取引先の5倍。切り替えは考えられない」と漏らす。
 トヨタが海外生産を拡大する中で、新規参入の東北企業が増えれば増えるほど、三河企業の国内の仕事は奪われる。 生き残りをかけた部品メーカーの新たな戦いが始まる。

日刊自動車新聞(東北版) 2011.10.14

〈明日へ〉岩機ダイカスト工業・斎藤吉雄社長/今まで以上に仕事、雇用拡大

海岸線に近い拠点が津波で流失

斉藤 社長  岩機ダイカスト工業は地元部品メーカーとしては早くからトヨタ自動車東北やホンダ系のケーヒンへの納入実績がある地力ある部品メーカーだ。 宮城県亘理郡を中心に埼玉県、米国など5カ所に拠点を置く。 斎藤吉雄社長は昨年5月、トヨタ車の販売促進を狙いにセントラル自動車が主導し、宮城県内の関連部品メーカーや自動車販売会社、金融機関などで組織する「萩豊会」の副会長も務める。

 3月11日、東日本大震災の津波が同社拠点のひとつ、海岸線に近かった茨田工場を襲った。 工場は建物、設備等が流失するなど大きな被害を受けたが社員は全員無事だった。震災時、斎藤社長は九州にいた。 だが顧客への納期対応や生産再開後を考え、インフラがまひし、連絡がつきにくかった地元にはすぐ戻らず、翌1週間、東京都内で生産再開に向けた復旧の指示や納品先顧客や部材サプライヤーとの調整に当たった。 顧客メーカーの生産上、どうしてもすぐに納入が必要だとされたものについては在庫をはき出した上、金型を顧客へ返した。 「日本国内にあるダイカストメーカーは500社。うちがダメでも他で製造できる」。何の迷いもなかった。 地元に戻ったのは翌々週月曜日の夜半。朝になり太陽の光で自宅周辺の様子が一変したことに初めて気づいたという。
 同日夜半、周辺地域の電力復旧とともに生産を再開した。国内の自動車関連、電子機械関連メーカーが製造を停止していたが、継続して受注があった海外向け製品の製造から開始した。 その後、国内関連メーカーの稼働率上昇とともに4月、5月と順次稼働率が上がり、9月からフル生産に入っている。

衰退ではなくチャンスと捉える

 今年初めに宮城県大衡村のセントラル自動車が稼働を開始、東北での自動車産業集積に大きな弾みがついた。 だが未曾有の大震災が起こったことで「トヨタが方針を変えてしまうのではないか」と危惧した。だが逆にトヨタは東北の「第3の製造拠点」へ向けた歩みを速めた。 「今までの流れが変わる。そこでは震災を衰退だと考えるのではなくチャンスだと捉えることが必要だ」と静かに語る。
 宮城県亘理郡の地でモノづくりを続けて40年以上が経つ。ここ20年は「東北で大きな会社を支える企業になりたい。 それも単純に仕事をもらうのではなく、応援できるような企業になりたい」という思いを胸に技術を磨き続けてきた。 「岩機ダイカスト工業はこの地域で始まった会社。今まで以上に仕事、雇用を拡大したい」と展望を語る。

日刊工業新聞 2011.06.21

みちのく産業紀行 東日本大震災を越えて[1]  岩機ダイカスト工業

発電機確保し操業再開

斉藤 社長
斉藤 社長
 3月11日に発生した東日本大震災は、地震、津波、放射線、そして風評という未曾有の被害をもたらし、3ヶ月が経過した今もなおその爪跡を残している。そうした中、地元産業界は被害の少なかった建屋や設備の復旧を急ぎ、復興に向けて歩みだした。
 2010年9月7日に連載を始めた「みちのく産業紀行−東北のモノづくり企業」は震災直前の3月8日付を最後に中断したままだったが、副題を「東日本大震災を越えて」に改め、各社の復旧・復興への歩みを追う。 同時に各社から復興への条件を示してもらう。
 初回は津波被害が大きかった宮城県山元町の岩機ダイカスト工業。


本社工場
アルミ溶融の散乱が懸念された本社工場
だが4月には完全復旧した。

【 復興への条件 】
(1)取引先からの受注拡大
(2)地元企業の元気な姿をアピール
(3)コスト低減などの自社努力

 「町の将来計画を考える意見交換会に参加するため、地震発生時は町役場を訪れていた。経験したことのない大きな揺れ。思わず会議資料で頭を守り、床に伏せた。あわてて車を飛ばし、高台にある本社工場に戻ると、眼下で津波が町を飲み込んでいた」―。自動車関連などアルミダイカスト部品を主力とする岩機ダイカスト工業(宮城県山元町、斉藤吉雄社長、0223・37・3322)の横山広人常務はその瞬間を振り返る。

 同社は山元町内3ヵ所に製造拠点を持つ。3工場とも高台や海から離れた場所にあり、津波の直接被害は免れた。だが、地震による建物の損壊やインフラ面で大きな被害を受けた。3工場で働く280人の従業員に大きなけがはなかったものの、49人の自宅は津波で流された。そんな中、斉藤社長は「早期に復旧しなければ顧客が困る」との一心で復旧を急いだ。

 地震発生時、横山常務の頭をよぎったのは、地震の揺れでダイカストの設備から溶解したアルミの湯が散乱し火災が発生することだった。工場に戻ると従業員の機転により火災の発生は防げた。
 しかし、停電のため、電気炉で溶解した湯が装置内で固まってしまう問題が生じた。町内の変電所は津波で冠水しており、電気の復旧は遅れた。その間、ダイカストの設備内で固まったアルミを取り出すことが出来ず、復旧作業の大きな妨げとなった。

 そこで同社は、ディーゼル発電機と発電機の燃料の確保に奔走。取引先の協力などを得ながら、発電機を計9台確保し、震災発生から12日後の3月23日には、一部での操業開始にこぎ着けた。
 ただ、全工程の復旧にはしばらく時間がかかると判断した斉藤社長は、震災直後の時点で、一部の金型をほかの企業に渡すことを決めた。そうしなければ「部品供給に大きな障害が生じ、取引先に迷惑がかかる」と考えたからだ。

 現在では生産現場の混乱は収まり、ほぼすべての設備が回復。フル操業できる体制も整った。自動車関連の受注が減少しているため、現時点の操業度は5割にとどまっているが、斉藤社長は「回復のピッチは思ったよりも早い」と、秋口の受注の回復を見込む。「従業員の表情は明るい。皆が前向きになれば復興は果たせる」(斉藤社長)と、外部環境が回復するまではコスト低減など不断の努力を継続する考えだ。

河北新報 2011.05.11

再起への戦略 東北・企業トップに聞く(2) 岩機ダイカスト工業・斎藤吉雄社長

厳しくても雇用死守

斉藤吉雄社長
斎藤吉雄(さいとう・よしお)社長(73)

―津波で大きな被害を受けた宮城県山元町に工場がある。現在の操業状態は。

<フル稼働できず>
 「3月下旬に一部の生産を再開し、その後、9割の設備が稼働できる状況になった。ただ、現在の稼働率は5割。震災による全国的な部品の供給不足から、自動車メーカーが完成車製造を5割に抑えている影響で、当社もフル稼働できない」

 ―震災発生時の状況は。
 「九州にいて、即座に山元町内の3工場に電話した。津波襲来前だったが、製造設備から溶けたアルミが揺れでこぼれ、一時出火するなど被害が出たと聞いた。過去にない状況で当面、生産できないと直感した」
 「まず考えたのは自動車関連部品を納める取引先に、いかに影響を与えないか。(ダイカスト部品製造に欠かせない)金型を取引先に預けるしかない。こう判断してすぐに取引先に連絡し、代わりに部品を造れる関東の同業者も紹介した」

 ―金型はダイカストメーカーの生命線と聞く。
 「目先の自社の損失より、自動車生産全体への影響の方が怖い。金型を渡した部品の製造は今も他社に移ったままだが、仕方がない」

 ―復旧へ向け、どう対応したのか。
 「九州から宮城に戻れば電話も通じないだろうと考え、震災翌日に空路で東京に入り、取引先や修理業者に連絡して復旧の手はずを整えた。最終的に判明した被害の中で、津波被害がなかった工場でも設備の要のアルミ溶解炉約20基が壊れたのが大きかった。停電でアルミを溶かす機能が失われ、破損につながった。修理には1億5000万円かかる」
 「数時間の停電ならしのげたはずだが、自家発電機を用意できたのは3月下旬で、電気の復旧は4月に入ってから。これほど長引くと思っておらず、教訓になった」


―経営への影響は。

<飛躍へ知恵絞る>
 「当面の売り上げは半減するとみている。経営は厳しいが、従業員の首は絶対に切らない。休みを増やして対応する」
 「厳しい状況の時こそ飛躍のチャンスととらえている。小さな生産機械で、より価値の高い製品を造り、よりコストを削減できるかどうか。余剰人員に知恵を絞ってもらう。生産が元に戻った時には、震災前以上に競争力がある状態にしたい」

 ―東北の製造業の行方をどうみるか。
 「復興は並大抵ではない。自動車各社の稼働率が上がらなければ、海外メーカーがシェアを伸ばし、その余波を受ける恐れもある。だが地元企業も経営改善すれば、もっと強くなれる。この地で頑張ろうと言いたい」
(聞き手は鈴木美智代)

<岩機ダイカスト工業>
1968年創業。宮城県山元町に本社を置く。本社工場を含め町内に3工場のほか埼玉県、米国に各1工場。自動車のほか医療用器具、パソコン関連などのダイカスト部品を製造。震災で同町の3工場とも被災し、うち旧坂元工場は津波で流失、本社工場は地盤沈下した。基幹設備のアルミ溶解炉も、停電により大半が損壊する被害を受けた。4月上旬に電気が復旧するまで、自家発電装置の導入などで対応した。従業員数は約320人。

河北新報 2011.02.08

自動車産業 産学官ナビ(47) 岩機ダイカスト工業

提案通じて取引拡大

本社工場
製造過程で出る余剰素材を再活用するシステムも備える
本社工場。

<技術者自ら出向く>
 自動車のほか医療用器具、パソコン関連など、幅広い分野のダイカスト部品を製造する。金型の設計・製作から製品の最終加工まで一貫生産できるのが強みだ。
 自動車関連企業との取引の歴史は長い。ホンダ系部品大手のケーヒン(東京)とは30年以上の実績を誇る。取引先拡大にも積極的に取り組み、トヨタ自動車グループとは約3年の準備期間を経て、2008年から部品納入にこぎ着けた。
 ダイカストの専門メーカーとして重視するのが取引先への「提案」だ。部品生産の鍵を握る金型については、技術者自らが取引先に出向き、図面段階から完成までの期間の約半分を相手とのやりとりに費やすという。
 こうした積み重ねの結果、より安くて品質も高い部品の提供が可能となるという。斎藤吉雄社長は「提案することが顧客の不安を消し、信頼や満足度につながっていく」と言い切る。

<成型法開発にも力>
 3年前には品質に影響するガス量を計測する分析機も導入した。評価機能を強化することで、工程の改善にもつなげている。東北大工学部などと連携して新しい鋳造素材や成型法の開発を昨年から始めるなど、競争力アップも図っている。
 生産現場を支える従業員の育成にも力を注ぐ。昨年からは入社5〜6年目と新入社員を組ませて、改善活動などの経験を積ませている。従業員は国内外の技術展示会や研修会にも積極的に参加、成果を持ち帰り同僚の前で発表している。
 「信頼にこたえる技術と人間性の向上」を社是に掲げる。斎藤社長は「さまざまな経験を重ね、自主性やコミュニケーションの力を磨くことが、従業員、会社の成長につながる」と力を込める。

朝日新聞 2011.01.04

くるまがくるまち(3)

地元調達

岩機ダイカスト工業の斎藤社長
岩機ダイカスト工業の斎藤社長。「製造業の海外生産が
進むが、日本のものづくりの将来を考えて、国内生産に
こだわりたい」=山元町

 「まさにサクセスストーリーですよ」。トヨタ自動車の部品をつくる100%子会社、トヨタ自動車東北(大和町)の杉山正美社長が絶賛するのは、県南にある山元町の金属部品メーカー、岩機ダイカスト工業だ。

 3年前からトヨタ東北に自動変速機用の部品を納め始めた。品質の良さはトヨタ本体にも伝わり、昨年1月からはトヨタの広瀬工場(愛知県豊田市)にもエンジン周りの金属部品を月3万個納めている。ダイカストとは溶かしたアルミニウムや亜鉛を金型に流し込む鋳造方式。斎藤吉雄社長は「東北に来たどんな企業でも支える会社を目指してきた」。
 自動車産業に参入するハードルは高い。キーワードは「品質」と「コスト」だ。
 輸送面も考えると、車体メーカーも1次下請けも地元から部品を調達した方が有利。しかし、安全面などから車の部品は高品質が求められる。1993年に岩手県金ケ崎町で操業を始めた関東自動車工業岩手工場でさえ、地元調達率は4割程度にとどまる。

 「常にニーズを考えてやってきた」。岩機ダイカストの斎藤社長は語る。従業員数は約300人。特異なのは、うち4分の1以上が「ダイカスト技能士」の国家資格を持つ技術者という点だ。専門の営業職は置かず、技術者が顧客と打ち合わせる。部品の形状変更や品質、コスト面を具体的に提案できる強みにつながる。
 それでもトヨタへの参入ハードルは高かった。ホンダ系部品メーカーに納入実績があるのに、トヨタ東北が調達するまでは足かけ3年かかった。何度も試作品を持ち込んだが、予想以上に高い安全性を求められた。
 それを支え続けたのが、トヨタ東北の杉山社長だ。04年の就任以来、部品の現地調達化を「最重点課題」とし、東北各県の企業を50社以上回った。見込みがあれば試作品をつくらせ、実際に少しずつ使ってみる。それでも、同社に納入している東北の企業はまだ10社にも満たない。
 トヨタ東北が使う部品のほとんどは愛知の企業から船で運ぶ。毎日、仙台塩釜港から20トントラック6台が行き来する。「現地調達化は進めなければならないけど、小さい部品はコスト削減がなかなか難しい。物流費を加えても愛知から運んだ方がいい」

 コストと品質が整っても、まだ壁は高い。トヨタOBで県産業技術総合センター副所長の萱場文彦さんは「この分野ではどこにも負けないという自社技術を磨くこと。『あそこの会社がないと、次のモデルができないよね』と自動車メーカーに言わせるぐらいが理想だ」という。
 「でも、世界中に車の需要はある。参入を狙う企業は、自動車をもっと知って、常にチャンスを狙えばいい」

河北新報 2010.08.24

岩機ダイカストや東北大など 新成型法、鋳造素材開発へ

自動車部品 丈夫で軽く

 金属部品メーカーの岩機ダイカストエ業(宮城県山元町)は、東北大エ学部などと共同で、新しい成型法と、それによる新たな鋳造素材の開発に着手する。電気自動車などで求められる自動車部品の軽量化と高強度化につなげる方針で、3年後のサンプル出荷を目指す。
 開発するのは溶かした金属を金型に流し込む「ダイカスト」と、別の素材を挟み込んで成型する「サンドイッチエ法」を組み合わせた複合成型法。特に流し込む金属は固体と液体を混在させる「半凝固法」を用いる。
 半凝固法は通常のダイカストに比べ、金型への注入速度が遅くなるのが特徴。このため、空気を巻き込む可能性がほとんどなくなり、製品の強度が高まるという。さらに別の素材を挟み込むことで強度は一段と増し、薄くすることが可能になり、軽量化も図れる。
 同社は昨年夏、半凝固の手法を用いた農機具部品の生産を始めている。この手法での量産ベースに乗せている企業は国内でも数少ないという。
 鎌田充志常務は自動車産業で進む部品の樹脂化などを踏まえ、「ダイカスト部品のパイが縮小しつつある中で、付加価値の高い自動車部品を造り、シェアを高めていきたい」と話す。

日刊工業新聞 2010.07.13

ボッシュ向けダイカスト部品 岩機ダイカスト 他社から製造移管

トラック・建機用 生産

 【仙台】岩機ダイカスト工業(宮城県山元町、斎藤吉雄社長、0223・37・3322)は、ボッシュ向けにトラックや建設機械用のダイカスト部品生産を8月に始める。ボッシュの要請を受け、埼玉県内の部品メーカーから生産を引き継ぐ形で両分野向けの部品生産に本格参入する。年内に生産額ベースで月4000万−5000万円に引き上げる。
 ボッシュ向けに供給する部品は第3工場内に完成した新エ場で生産する。新エ場の総投資額は約4億円。延べ床面積は約2000平方メートル。当面、埼玉県内のメーカーからダイカストマシン、金型などの設備を順次移設して生産する。
 生産品目はディーゼルエンジンの燃料ポンプ関連部品。11月にはフル稼働し、20人体制で月産4万−5万個の生産を計画。将来は自社の金型、設備の利用についても想定している。
 すでにボッシュとは乗用車部品や一部小型トラック部品での取引実績はあるが、本格的な規模によるトラック、建機部品の生産は初めて。
 岩機ダイカストは「従業員の雇用継続の観点からトラック部品の生産を引き受けた。昨年度の受注落ち込みを補いたい」(斎藤社長)という。同社の2010年5月期の売上高は前期比15%減の約70億円。11年5月期は、乗用車部品の需要の好転とトラック部品の生産を織り込み、売上高75億円レベルに回復を見込む。

日本経済新聞 2008.04.14

岩機ダイカスト 太陽光発電を導入 出力は東北最大級

2億4000万円投資 出力は東北最大級

 自動車部品メーカーの岩機ダイカスト工業(宮城県山元町、斎藤吉雄社長)はこのほど、最大出力三〇〇キロワットの太陽光発電システムを導入した。設備投資額は二億四千万円で、出力は東北最大級。設置した山元町の坂元工場で使用する電力量の三分の一程度をまかなう。年間で数百万円のコスト削減に加え、二酸化炭素(CO2)など温暖化ガスの抑制につなげる。
 設置したのは坂元工場の屋上。導入費用のうち七千万円は国から受ける補助金を充てる。余剰電力については電力会社への販売も検討する。
 東北経済産業局によると、民間企業が単独で設置した太陽光発電システムとしては東北最大という。
 岩機ダイカスト工業はホンダ系の部品メーカーの部品など製造を手がけている。昨年、宮城県の企業では初めてトヨタ自動車東北(宮城県大和町)から部品を受注。エンジンの力を変速機に伝えるAT(自動変速機)の主力部品を坂元工場で生産して納入している。

河北新報 2008.02.02

トヨタに部品初出荷 岩機ダイカスト工業 宮城・山元

 金属部品メーカーの岩機ダイカスト工業(宮城県山元町)は1日、トヨタ自動車系のトヨタ自動車東北(宮城県大和町)に、変速機部品のステータホイールの出荷を始めた。
 東北の企業がトヨタ自動車東北に部品を納めるのは初めて。トヨタ自動車系のセントラル自動車が2010年に宮城県に進出するのを控え、地元企業とトヨタ系企業の取引拡大の機運が高まりそうだ。
 岩機ダイカストの工場では1日、ステータホイール400個をトラックに積み込み、トヨタ自動車東北に向けて出発した。同ホイールは変速機に組み込むトルクコンバーターの主要部品で、月6000個ずつ納める。
 岩機ダイカスト工業の斎藤吉雄社長は「納品は地元企業の技術力が評価された結果。品質とコスト管理を徹底し、増産につなげたい」と話した。


テープカットする岩機ダイカストの斎藤社長(中央)と杉山正美トヨタ自動車東北社長(左から2人目)ら

河北新報 2008.01.14

岩機ダイカスト工業切削加工工場を稼働

山元 金型から一貫体制構築

 金属部品加工の岩機ダイカスト工業(山元町)はこのほど、坂元工場敷地内に切削加工工場棟を新設し、稼働させた。金型の製作から鋳造、機械による加工まで一貫した体制を構築し、ダイカスト部品製造の効率化と品質保証の強化を図る。設備投資額は約三億円。  新工場棟は平屋で床面積約一千平方b。工作機械十二台のほか、鋳造部品内の小さな穴を樹脂で埋める「含浸装置」も一台導入した。今後、受注量に合わせて順次装置を増やし、二年以内をめどに計四十台にする。  切削加工まで一貫して行う利点として、同社は「金型の製作段階から、加工を意識した設計ができ、トータルコストを削減できる」と説明している。納品までの期間の短縮にもつながる。  ダイカスト部品は、アルミやマグネシウムなど金属を溶かして高圧で金型に流し込み、急速に冷却する鋳造部品。同社は東北有数のダイカスト部品メーカーで、ホンダ系一次部品メーカー「ケーヒン」(東京)などに自動車部品を納入しており、二月からはトヨタ自動車東北(大和町)にも納品を始める。


坂元工場の敷地内に新設された切削加工工場棟=山元町坂元

河北新報 2008.01.12

トヨタ東北宮城の企業に部品発注

現地調達本格化へ第一歩

 トヨタ自動車東北(宮城県大和町)は、変速機のトルクコンバーター(トルコン)の主力部品を、金属部品メーカーの岩機ダイカスト工業(宮城県山元町)に発注することを決めた。トヨタ自動車の生産子会社セントラル自動車が二〇一〇年に宮城県に進出するのを控え、地元企業がトヨタ系企業との取引に参入する機運を高めそうだ。

 トヨタ東北はこれまで、部品を中部地区などから調達していたが、地域経済への貢献から今後は現地調達に一層力を入れる。社内に現地調達プロジェクトを設け、岩機ダイカストとは三年前から共同で部品開発、改良に取り組んでいた。
 発注するのは、AT(自動変速機)やCVT(無段変速機)に組み込むトルコン内で、動力を伝える油の流れを制御する羽根車状のアルミ製鋳造部品。月一万五千個を調達するうち、四割に当たる六千個を岩機ダイカストに発注する。
 納品は二月からで、岩機ダイカストは一日一回納める。トヨタ東北は部品を加工してトルコンに組み付け、トヨタ自動車北海道(北海道苫小牧市)に供給する。
 現地調達によって納入期間は四日から一日に短縮され、部品メーカーが抱える在庫も減る。廃棄される不具合部品の量も減少し、不具合の原因も早く正確に解明できるという。
 トヨタ東北は、岩機ダイカストと初めての取引で全量発注するのはリスクが高いと判断し、今回は既存部品の部分発注にとどめた。今後は新製品開発の段階から地元企業に全量発注することも検討する。
 トヨタグループでトヨタ東北はトルコンの主力生産拠点の一つで、〇四年度から生産増強している。岩機ダイカストはホンダ系部品メーカーのケーヒン(東京)にも部品を納入している。


トヨタ自動車東北からの受注が決まった岩機ダイカスト工業の坂元工場=宮城県山元町

河北新報 2007.11.29

東北地域クラスター形成戦略を支えるエクセレントな企業

岩機ダイカスト工業

 岩機ダイカスト工業(宮城県山元町、齋藤吉雄社長、0223・37・3322)は、アルミ・亜鉛・マグネシウムダイカストおよび金属粉末射出成形法(MIM)による小型・複雑形状部品「モルダロイ」を生産する総合ダイカストメーカー。金型設計から鋳造・加工まで「ムダを徹底的に排除し、ダイカスト生産の理想を追求する」(齋藤社長)のが同社のポリシー。
 05年末に本社・工場内に金型の設計・製作や試作、測定・検査を集約した金型工場を新設、客先との打ち合わせ段階で品質・コスト面から提案し、ニーズに即応する体制を整えている。さらに07年秋には坂元工場(宮城県山元町)に機械加工工場棟(写真)を新設、鋳造から加工まで一貫して行う体制を強化した。これにより「納入する製品は100%の品質保証(QA)を目指す」(同)。

河北新報 2007.11.05

仙南の地で技術を磨く

 アルミニウムや亜鉛、マグネシウムなどの溶融金属を金型に高圧で流し込み、自動車から電子機器まで、さまざまな部品を生産する。
 「営業担当はいません。設計技術者が打ち合わせに出向いて顧客の要望を聞き、品質、コスト面で満足のいくものづくりを提案しています」
 高校卒業後、十二年間、関西のメーカーで腕を磨き、実家のある山元町で創業。関東の企業を一軒ずつ訪ね歩き、取引先を開拓した。「相手に信用されるまでが大変だったが、注文を受ければこっちのもの。技術には自信があった」と振り返る。  その言葉通り会社は着実に成長。年商八十億円、町内に三工場、埼玉県と米国アリゾナ州に一工場ずつ持つまでになった。約三百十人の従業員は大半が正社員。「ものづくりは技術力が勝負」と社員研修に力を入れる。
 無駄なことが嫌いで、社長室はない。従業員と同じフロアで、同じ事務机を使う。その方が社員とのコミュニケーションが図れると言う。
 本社工場は手狭になったが、海外に移転する考えはない。「交通の便の良い仙南は、地の利に恵まれている。ここで全国の同業者と競い合っていく」と話している。

岩機ダイカスト工業(山元町)
社長

斎藤 吉雄さん (69)
さいとう・よしお

1938年1月31日生まれ。山元町出身。宮城工高卒。大阪や名古屋のダイカストメーカーで働いた後、68年に郷里で独立。みやぎ工業会などの役員を務める。

素形材通信 2007.11.01

岩機ダイカスト切削加工工場が稼働

自動車用新規受注品に対応 製品倉庫の建設を検討

 岩機ダイカスト工業(宮城県亘理郡)は、坂元工場に建設中だった切削加工工場(建築面積九百九十平方b)が完成、稼働を始めた。オークマ製やファナック製の加工機十台を設置し、ダイカス卜部品加工を始め、順次設備を増やしていく。スペース的には設置可能な二十台までもっていく方針。合わせてダイカスト部品の保管倉庫を新設する考えを明らかにした。設置場所は坂元工場になる見通し。利益が出るから設備投資でき、それが品質アップや供給能力を高め、さらに受注拡大につながっているようだ。  今年、新規に某大手自動車メーカーとの直接取り引き(一次下請け)が始まったことで「納期遵守が至上命題になった」と斎藤社長は戸惑いを見せる。理想は看板方式で必要な時に必要な数量を生産することだろうが、それでは数多くの客先に数多くのものを納入しようとする立場では「主体的な生産が不能になる」という訳だ。
 利益が出ないと人にもモノにも投資できず、顧客ニーズに応えられずに淘汰されてしまう。受注競争下で中小企業が陥るジレンマだが、ダイカストは利益の出せる事業と言い続ける斎藤氏。ここ数年、業界ではトップクラスの利益を計上している。その斎藤氏が常に口にする言葉の一つは「儲けて金ができたら投資しようと考えて出来た例はない」。言行一致の姿勢を貫く。また同業者を模倣する気配もない。
 同社の部品加工の多くは近郊の協力企業に委託していた。ダイカストの外注先を含めると約三百名の従業員が働いている。今回の加工工場新設によってもそれらを引き上げることはしない。今後取引き高の増加が見込まれる新規客先への対応を急ぐことにした。

「変貌ぶり、刺激十分」

ダイカスト研が岩機ダイカストを見学

 日本ダイカスト工業協同組合の私的勉強グループ「ダイカスト研究会」は十日午後、宮城県の岩機ダイカスト工業を訪問し、本社工場と新設の二工場を約三時間にわたって見学した。
 本社工場の設計部門や機械的強度・三次元測定などの検査部門、金型製作部門、ダイカスト部門を余さず見て、坂元工場の部品加工部門とダイカスト部門を視察し、同社の斉藤吉雄社長と横山常務から会社概要と経営方針などの説明を受けた。  座長役の森川和男氏(秋葉ダイカスト工業所取締役)は「ダイカストには探求すべき領域がまだまだあることを実感した」と述べ、上和田忠彦氏(高崎ダイカスト工業所会長)は「やるべき課題が浮き彫りになる」と話し、和田悦夫氏(石橋理化工業社長)は「訪問するたび変貌していて刺激十分」と感想を明かにした。
 「通常に比べて湯口が大きく設定されていて興味深い」と技術的な視点で論じた田原一郎氏(田原ダイカスト興業社長)のほか磯野哲雄氏(磯野製作所社長)、飯田和邦氏(暁工業社長)らが参加した。

岩機ダイカストが来年、創業40周年に

 岩機ダイカスト工業は来年、会社創業して四十周年を迎える。記念イベントの開催についての意向を尋ねると「やるかやらないか、まだ決めていない」(斎藤社長)という。

日本経済新聞 2007.09.19

ものづくり100選 一貫生産で迅速対応

 仙台市中心部から約三十`南にあるJR常磐線山下駅。そこから車で十分ほど走った山間部に岩機ダイカスト工業の本社工場はある。自動車部品などに欠かせないダイカスト製品で東北最大級の生産量をもつ同社の強みは、金型の設計・製造から製品の加工まで一貫した生産体制だ。出荷する製品群は縁の下の力持ちとして産業界を支える。  ダイカストは、溶かした金属を高圧で金型に流し込み、急速冷却する鋳造方法。金属にはアルミニウムやマグネシウムなどを使う。鉄よりも軽く、高い強度や寸法精度で短時間に量産できるため、自動車のエンジン部品など幅広い用途がある。

若い世代が活躍

 「ダイカストは金型が命。命をヒトに預けることはできない」。斎藤吉雄社長は金型の自社生産にこだわる。なにより「顧客のニーズに迅速に対応できる」からだ。
 それを実現したのが2005年に約8億円を投じて建てた技術管理棟。金型の設計能力や精度を高めようと、分散していた設計、生産、試作、納品前の検査などの部門を集約した。
 約40人が働く同棟は若い従業員が目立つ。特に設計部門は「三次元CAD(コンピューターによる設計)システムを使った作業など、デジタルに明るい世代が担っている」(斎藤社長)。
 とりわけ力を入れる試作品づくりでは、CADデータを取り込んだ自動化システムが威力を発揮する。マイクロメートル(1マイクロは100万分の1)単位の粉末の層を4〜5センチに重ね、約千度に熱してから固める。切削加工用の高速マシニングセンターなど五台の工作機械が夜間も無人運転し、ダイカストの試作品を短期間でつくり上げる。
 こうした技術力で、へき地の不利をカバーしている。最近ではある大手自動車部品メーカーが出した油圧制御装置の図面から油漏れの危険性を指摘して改善を促すなど、納入先からも一目置かれる存在だ。
 同社の道のりは決して平たんではなかった。高校卒業後に大阪のダイカストメーカーに就職した斎藤社長は名古屋での独立を計画。だが直前に兄が急逝し、実家の山元町へ。周囲が「東北には仕事がなく無理だ」というなか、東京の企業からやっとの思いで仕事をもらい、下請けを始めた。「休みなしで働いた、あの苦労が今日の糧になっている」

「提案」が信頼に

 斎藤社長はこうも言う。「顧客の注文を形にして満足するのではだめ。ダイカストの専門家として高品質・低コストを実現する提案をして顧客の信頼を勝ちとらなければ」。社内の設計者に対し顧客との折衝から工具の管理まで、幅広い知識と技術、プロ意識を求めるのはそのためだ。
 来年が創業40年。「時間がたつにつれてものづくりへの探求心が旺盛になっている」と斎藤社長。その姿が成長力の源泉なのかもしれない。

《岩機ダイカスト工業》

▽設  立 1968年
▽所 在 地 宮城県山元町鷲足字山崎51−2
▽資 本 金 2億円
▽売 上 高 79億1000万円(2007年5月期)
▽生 産 品 ダイカスト製品
▽従 業 員 306人(9月中旬時点)

 (仙台支局 坂口幸裕)

日刊工業新聞 2007.07.18

日本の活力を支える元気なモノ作り中小企業300社 2007

卓越した独自技術を生かし顧客から高い信頼を得る

 岩機ダイカスト工業(宮城県山元町、齋藤吉雄社長)はダイカストおよび金属粉末射出成形部品(MIM)の製造で定評がある。 多彩な先端技術や独自の技術によって高品質・高精度を実現させながら、金型設計から製品加工までの工程を自社で行う一貫生産により徹底的にムダを排してコストも追求。
顧客から高い信頼を得ている。

素形材通信 2007.06.01

7月に加工工場が完成 MCなど40台購入

半数は協力工場に貸与

 岩機ダイカスト工業(宮城県亘理郡山元町)の斎藤吉雄社長は十七日の会見で現在、坂元工場(山元町)敷地内に建設中の機械加工工場が七月にも完成し、MCやNCなど工作機械を計四十台程度購入すると明らかにした。
 新設する加工工場は床面積約一千平方bと比較的小さい建屋のため購入台数のほぼ半数は近在に点在している協力工場に貸与する方針。協力工場の老朽加工設備の更新や能力増強を図ることでグループ全体の底上げを目指すもの。
 今回の設備投資は、トヨタ自動車系や日産自動車系、欧州系自動車部品メーカーなどの新規受注に対応し、素材の切削加工部門を拡充させるのが狙い。

日刊工業新聞 2006.08.22

脱脂・焼結一貫ライン 宮の脇工場(宮城)に導入

岩機ダイカスト MIM部品効率生産

 【仙台】岩機ダイカスト工業(宮城県山元町、齋藤吉雄社長、0223・37・3322)は、金属粉末射出成形(MIM)部品工場の宮の脇工場(宮城県山元町)に脱脂・焼結一貫の連続ラインを導入した。焼結工程の前にバッジ処理していた脱脂工程を連続ライン化して焼結ラインと一体化したもので、これによって生産性および品質の向上を図る。投資額は約1億円。
 脱脂・焼結一貫の連続ラインは同工場内の既存建屋に導入した。L字型のレイアウトで、成形した部品を載せたセラミック製トレーをコンベヤーで搬送、自動で脱脂・焼結する。温度管理がしやすく、品質が安定、外観の仕上がりも良いという。
 同社は89年に高密度・高精度の3次元複雑形状部品に適したMIM部品「モルダロイ」の生産を開始。主として鉄系とステンレス系を素材に、医療関係(歯科用部材など)や事務機・電気機器・精密機器の部品を量産している。これまでは成形後、熱脱脂炉や溶剤脱脂炉でバッジ処理でバインダーを脱脂した後、連続式焼結炉に流していた。
 今回、生産効率と品質の向上を図るため脱脂・焼結一貫の連続ラインを導入したもので、同ラインでは主として大量生産する歯科用部材を生産する。これで連続式焼結炉は3ラインとなったが、このほか連続真空焼結炉なども保有しており、他の素材も含めて多様なニーズに対応していく考え。

日刊工業新聞 2006.08.09

村井知事を囲む産官交流懇談会

 宮城産業人クラブは日刊工業新聞社と共催で、このほど「宮城県知事を囲む産富交流懇談会」を仙台市内のホテルで開いた。  11回目の今回は「富県戦略で飛躍の年へ 〜 宮城県の産業振興策」をテーマに、昨年11月に就任した村井嘉浩知事が掲げる「富県戦略」の骨格を中心に論議、自動車関連産業をリード役とするモノづくり産業の育成施策、県内中小企業に対する支援施策、県外企業の誘致施策などについて意見交換した。

質疑応答出席者(順不同)

【県側】 宮城県知事 村井   嘉浩氏
  産業経済部長 定光   裕樹氏
  同参事兼経営金融課長 佐々木 和好氏
【質間者】 工藤電機社長(宮城産業人クラブ会長) 工藤   治夫氏
  新東北化学工業社長(同副会長) 佐藤   徹雄氏
  通研電気工業社長(同副会長) 平田   和也氏
  岩機ダイカスト工業社長(同理事) 齋藤   吉雄氏
  東栄科学産業社長(同理事) 山城   巖氏;
  梶原電気社長(同監事) 梶原   功氏
  みやぎ工業会会長(NECトーキン相談役) 羽田   祐一氏
【本社側】 日刊工業新聞社社長(日本産業人クラブ連合会会長) 千野   俊猛
  同東京支社長(宮城産業人クラブ理事長) 石上   明男
  仙台総局長(同事務局長=司会) 石黒   裕人
     

当社、齋藤社長の質問より

齋藤氏 地場企業の参画不可欠
齋藤

 宮城県は岩手県、山形県との3県連携で自動車関連産業の集積を加速する取り組みを進めておられます。そうした中で、自動車関連産業を地域に根付いた産業とするには、多くの地場企業が参入・参画していくことが欠かせないと思います。自動車関連産業の育成・強化に向けた具体策をお聞かせ下さい。

村井知事

 自動車関連産業はすそ野が広く、高い経済波及効果が見込まれます。自動車産業を核とするモノづくり基盤の集積が進めば、あらゆる産業の競争力の向上、雇用の拡大につながると期待されます。自動車関連産業の育成を「富県戦略」の重要分野と位置づけ、本県の次代を支える基幹産業として育てていきたいと考えております。

吉田課長

 岩手では東北唯一の完成車工場が増産体制を取っており、宮城にはトヨタ系、ホンダ系やカーエレクトロ二クスの有力な部品メーカーが立地しています。これらが牽引役となって自動車関連産業の製造、出荷額が伸びており、これを一気に加速させたいというのが県の考えです。
 このため大きく三つの柱に分けて今後の施策を展開していきます。一つは受発注の機会のさらなる拡大。二つ目は技術力の高度化。これを徹底的に行い、国際競争力が身に付いたところになることが必要だということです。三番目が産学連携や広域連携などの連携を深めていくことです。
 受発注の拡大では、この8月末に豊田市で3県連携の技術展示商談会を開催しますが、これには100社を超える企業が参加します。技術の高度化では、産業技術総合センターの職員をトヨタ自動車東北に研修派遣、習得した成果・技術を県内企業に移転します。石巻専修大学では自動車科を設けて人材育成に乗り出しています。さらに産業技術総合センターではトヨタ出身の萱場文彦氏を副所長に迎えて県内企業の技術力の向上を支援していただきます。
 産学・広域連携では8月末の3県連携の技術展商談会に産学官連携のブースを設置、東北大、岩手大、山形大や先端企業などにプレゼンの機会を設けて研究開発促進の面でも力を入れてまいります。3県連携で推進することで研究開発でも国際競争力のある地域を目指します。

素形材通信 2006.05.01

岩機ダイカスト 試作から量産まで一貫受託

「技術管理棟」が完成

金型部門強化で生産性30%向上

 岩機ダイカストエ業(宮城県亘理郡)は十一日、本社工場敷地に床面積二千六百四十平方bの一部二階建ての金型加工を中心とする「技術管理棟」を完成、公開した。金型加工はこれまで別の工場で行っていたが、金型の治工具を含めた全般的な能力アップを図ると同時に本業のダイカストの川上に位置する試作領域まで広範に取り込む考えだ。
 技術管理棟に導入した設備は、3次元CADデータで金属のモックや簡易金型が製造できる粉末焼結積層造型装置及びプラスチック対応の積層造型装置を試作ビジネス用に本格展開するほか、品質検査用に引っ張り破壊試験機や定番のX線検査装置、三次元測定器なども同棟に集約した。
 主眼の金型加工用には高速マシニングセンター(MC)三台や放電加工機など最新のものを揃え、年間二百型にのぼる新作金型の全ての主型を内製化し、製品部のキャビティ用金型は30%程度を内製、70%は金型専門五社に引き続き依頼する。「主型はサイズなどを標準化しやすく、夜間の無人稼働などでコストも下げられる」(斎藤吉雄社長)としている。狙いは「設計力の強化と金型の精度を上げること」のようだが、自社及び協力工場の生産性も三割程度は上がる目算が立っている。
 受注状況について斎藤社長は「大口の新規受注案件があるが、それを除いても月商六億円ペース」と好調さが続いていることを明らかにした。

「アルミ半凝固製造装置」を導入

 岩機ダイカストは、高品質なダイカスト製造を簡易に実現するナノキャスト製「アルミ半凝固製造装置」一基を三千万円で購入した。ラドル式の給湯装置との組み合わせで使用する。

素形材通信 2006.05.01

ダイカスト工業協組 北関東地区部会を岩機ダイカストで開催

日本ダイカスト工業協同組合(東京・港区)は十九日、北関東地区部会を宮城県亘理郡の岩機ダイカスト工業(斎藤吉雄社長)で開催し、同社を見学した。これには正会員、賛助会員など二十名が参加。見学したのは本社工場のダイカスト鋳造ラインと完成したばかりの技術管理棟及び最も新しいダイカスト生産拠点の坂元工場の2カ所で、見学時間の都合で焼結金属部品のMIM工場は訪問しなかった。
 見学の印象について参加者の一人に尋ねると「従業員がたいへん若い。工場も5Sが行き届いていて、十年以上たつダイカストのラインも劣化していない。業務内容は単にダイカストという狭いものではなくて金型の設計製作からダイカスト、加工まで量産と試作をともに高いレベルで実現している。素材もアルミ、マグネ、亜鉛のダイカストにMIMによるステンレス部品もあり、成形品のスーパーマーケットのようだ」と感心した様子だった。  北関東地区部会は群馬・茨城以北に本社を置く会員企業の集まりで、毎年一回の予定で会員企業の工場見学会を兼ねて実施している。今回は北関東に工場を置く会員企業からの参加もあった。

MIMヘの設備投資目立つ

 岩機ダイカストは旧本社の宮ノ脇工場(山元町)で展開しているMIM事業を大幅に拡張している。原料の金属粉末用射出成形機の増設と連続式焼結炉の増設などで大幅増産態勢を構築中だ。MIMでは定番の歯科矯正具やミシン部品、自動車部品、時計部品などを大量生産しており、この分野では業界トップクラスの存在になっている。

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